茨城県・助川カメラ
vol.3でお話を伺うのは、茨城県日立市内の写真店「助川(すけがわ)カメラ」さん。
「助川カメラ」とは?
JR常磐線の大甕(おおみか)駅が最寄り駅の、茨城県に根付いた写真店。各種プリントサービスをはじめ、写真教室・撮影会、各種展示会企画、カフェ経営など多岐にわたって事業を展開している
経営の姉妹
・姉:百目鬼 芳子(どめき よしこ)さん
・妹:百目鬼 敬子(どめき けいこ)さん
「PHOTO IS 写真展」に関わり始めたのは、10年前の2010年頃だったと思います。
時期はちょうど、「10000人の写真展」から始まったこの写真展が、「30000人の写真展」として大きく規模を拡大したとき。
店頭にいらっしゃるお客さまに、写真展参加のご案内をしていたのをよく覚えています。
世の中に写真展は多くあれど、「PHOTO IS 写真展」はとても特徴的。私たちが考える「PHOTO IS 写真展」のいいところは、大きくまとめると以下3点です。
[1]コンテストではないので気軽に応募が可能
まず1点目は、誰でも気軽に応募ができる写真展であることです。
「PHOTO IS 写真展」では、基本的に「応募を希望されたすべての方の写真」が、希望する会場に飾られます。
コンテスト形式の写真展では、限られた作品だけが展示されます。でも、「PHOTO IS 写真展」では、応募した作品が展示からはじかれる心配がありません。そのため、参加のハードルがとても低く、初参加の方でも安心して応募できるというメリットがあります。写真店側としても、みなさんの写真が必ず飾られるという点は、とても嬉しいことだなと感じています。
[2]自分の好きな写真を応募できる
2点目は、上手に撮れた・撮れないではなく、「好きな写真」を応募していいこと。
私たち姉妹も、毎年「PHOTO IS 写真展」を実際に見に出かけているのですが、会場には「楽しさ」を感じさせてくれる写真が多く展示されています。
その理由は、日常の中で何気なく撮った1枚や、覚えておきたい一瞬、大切なシーンなど、「好き」を基準に応募されている方がたくさんいらっしゃるからだと思っています。
純粋に「自分の好きな写真」を出せる写真展って、じつは珍しいと思うので、これもいいところですよね。
[3]次のステップに進むきっかけが得られる
でも、「全員参加」「好きが尊重される」ことだけがいい点ではありません。
3点目は、プリントのよさに向き合うことによって、写真をもっと好きになり、結果として「写真が上手くなりたい」と考える人が増えること。
その理由は、「PHOTO IS 写真展」運営陣が随所に散りばめている、写真を楽しむ工夫によるものだと思います。
たとえば、会場を訪れて写真をご覧になったお客さまが、撮影者宛てにメッセージを贈ることができる「絆ポスト」という仕組み。
また、毎年写真家や著名人の方が「心に響いた100選」として、それぞれが印象に残った写真を選択。選ばれた方に、オリジナル作品集をプレゼントするという仕組みもあります。
これらは「プリントした写真を応募して飾る楽しみ」に加え、「自分の写真が、知らない誰かの心を打ったこと」を教えてくれます。
「助川カメラ」からご応募いただいた方は、どうしてだかこの数年、毎年「心に響いた100選」に連続選出されており、みんなで喜んでいるのですが(笑)。
その方の中には、「もっと写真の腕を磨きたい」とステップアップされる方もいらっしゃいます。
だから、「PHOTO IS 写真展」は、「写真って、楽しい」と改めて教えてくれる場所としてだけでなく、もしかしたら「もっと写真を楽しむためには?」と考えるきっかけをくれる機会としても機能しているのではないか、と思っています。
また「助川カメラ」では、そんないいところがたくさんある「PHOTO IS 写真展」を、お客さまと最大限楽しみ尽くすため、写真店としてこんな工夫をしています。
[1]とにかく全員にオススメする
まずは、うちのお店を訪れる方全員に「PHOTO IS 写真展」への応募をご案内することです!(笑)
写真展への応募というと、聞いただけで気構えてしまう方もいらっしゃるのですが、「全員参加型」とご説明すると、みなさん興味を持ってくださいます。
そして、「助川カメラ」は、じつは写真店にカフェを併設しているスタイル。来店される方は、写真がもともと好きな方と、カフェとして訪れており、写真を意識せずに来てくださった方の2種類に分かれるんです。
後者の方へのオススメも、もちろんします。
だって、今はスマホデータさえあればプリントできますし、カフェでランチを食べてくださっている間にプリントが完了するという相性のよさもあります。
とにかく私たち姉妹は写真の楽しさを広めたいので、訪れる方全員にオススメすることを徹底しています。これができるのも、「PHOTO IS 写真展」の開かれた雰囲気のおかげですね。
[2]会場見学ツアーのイベント化
また、先程私たちは毎年会場に写真展を見に行く、と申し上げましたが、じつはこれ、撮影会を兼ねたバスツアーにしてしまっています(笑)。
※ただいまバスツアーはコロナによりお休み中。
「助川カメラ」のある茨城県日立市から、写真展会場である東京・六本木の会場までは、バスで2時間ほど。大きなバスを貸し切って、うちのお店経由で応募してくださった有志の方々と、毎年一緒に見に行くんです。
すごく楽しいですよ。なんだか「写真展」と言うより、「お祭り」みたいですよね。まさに「祭りなんだから、楽しまなきゃ!」などと言いながら、みんなでわいわい応募作品を選んだり、当日でかけたりしています。
[3]返却後は、「助川カメラ」で再度写真展を開催
そして最後は、「PHOTO IS 写真展」で展示を終えた後、返却希望を出すと返してもらえる写真を、もう一度「助川カメラ」の展示スペースで、展示し直す取り組みです。
「助川カメラ」では、普段から店内に展示スペースを設けており、期間ごとにテーマを定めて展示を行っているのですが、「PHOTO IS 写真展」の展示も設けているんです。
「絆ポスト」の仕組みが大好きなので、再展示の際も真似をして、写真を見た方が撮影者の方に向けて、手書きメッセージを送れる仕組みも踏襲しました。
じつは今回の猫がテーマの展示は、埼玉県南浦和の「カメラの光盛堂Ⅱ(コウセイドウ)」さんと共同開催。うちでの展示を終えたら、すべての写真がカメラの光盛堂さんⅡでも展示されるようにもなっています。
「PHOTO IS 写真展」も、写真店同士で手を取り合って、再度の共同展示ができたら楽しそうですよね。
私たちは、写真が大好きだった父の意思を継ぎ、三代目として写真店を経営中。小さな頃から「写真はプリントしてこそ写真だ」と教わってきて、いまでもそれを信じています。
プリントの愛おしさは、データのように消えないこと。また、プリントすることによって、気持ちと写真を「贈る」ことができるようになるところ。
当店では、「PHOTO IS 写真展」の応募は、A4サイズを基本としています。日常で、A4に引き伸ばすことってあまりありませんよね。
でも、A4ってプリントの真の魅力が引き出されるサイズだと思いますし、家に飾るのにもちょうどいい。それに、プレゼント用としても、じつは最適サイズなんです。
プリントすることによって、写真をデータで終わらせず、大きなプリントで細部を見直すことによって、「次はこう撮ろう」「もっと色味はこんな風に工夫したい」など、スマホ画面で見ていた頃とは違う感情が芽生える方も多いよう。
そうすると、「機材をそろえてみよう」と考え出したり、「今度はその写真で誰を笑顔にしたいかな?」と考え始めたりもします。
そんな、写真から始まる「しあわせの循環」に気づかせてくれる大きなきっかけのひとつが、「PHOTO IS 写真展」なんだと思います。
その連鎖に、私たちも引き続き協力させてもらえたら嬉しいですね。
ライタープロフィール
伊佐知美
旅と写真と文章をこよなく愛すライター。写真を撮りながら旅をして早数年。日本一周、世界二周、47都道府県・70カ国程度を訪問済み。「PHOTO IS 写真展」の出展を通じて、日本と世界のプリント文化がさらに盛り上がるといいな、と願いながら記事を綴っています。
Twitter https://twitter.com/tomomi_isa
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